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租税教育

 私は、税理士会の仕事の一環として、新宿区内の小学生などを対象に租税教育に取り組んでいます。税の世界もどんどん新しくなっていますので、小学生相手とは言え、租税教育の講師を務めるには定期的な研修が必要です。先日もその研修を受けてきましたが、これまでの講師経験をお話してみたいと思います。

 小学生相手の講師を務めるにも、事前の心構えが必要です。たとえば、「家に帰ったらお父さん、お母さんに聞いてみましょう。」などという言葉は避けなければなりません。お子さんたちの事情は複雑で、ご両親の片方、あるいは両方ともがおられない家庭もあるからです。また、正しい納税者意識を育てるのが目的ですから、「税を取られる。」などの表現も禁句です。

 幼い頃の大病のため、小中学校にろくに行っていない私にとって、小学生相手に話すことはとても楽しみな反面、緊張を強いられることでもありました。でも、いざやってみると子供たちの知識や関心の高さに驚かされることもありました。「税金って、どんなものがあるか知っていますか?」と問いかけると、「所得税」「消費税」などとちゃんとした答えが帰ってきます。それこそ家庭内での話題が関係してくるのでしょう。比較的ゆとりのある一戸建ての家が多い地域の学校では「相続税」という答えが多く、下町の商店街に近い学校では「消費税」に関心が強いようです。

 新宿という土地柄、学校によってはクラスに数人、あるいはそれ以上に外国籍の子供たちがいることもあります。こうした場合もいろいろと気を遣わねばならないこともあるのですが、各国の税制や消費税率の違いといった教材を示すと、外国籍の子供たちもそうでない子供たちも真剣な目で聞いています。

 神戸の生まれでいまだに関西弁が抜けない私ですが、話が終わったあと、子供たちがどれかで理解してくれたか気がかりです。そうしたら、アンケートにこんなことを書いてくれた小学生がいました。「あのおばさん、芸人みたいでおもしろかった。」わたしゃ吉本か!