芥川賞

先日発表された2011年度下期の芥川賞は円城塔の「道化師の蝶」と田中慎弥の「共食い」の二作品同時受賞となったが、田中慎弥の受賞記者会見が面白い。いかにも嫌々そうに席に着き、「今の感想を」と聞かれると、「たしか、シャーリー・マクレーンだったと思いますが、アカデミー賞の候補に何度もなり、最後に受賞したときに<私がもらって当然>と言ったそうですが、まあそんな感じです。」ここで会場から拍手が湧くと、「4回も落とされたあとですから、ここで断ってやるのが礼儀かと思いますが、私は礼儀を知らないので、また断ったと聞いて気の小さい選考委員が倒れたりすると都政が混乱しますので、まあ都知事閣下と東京都民各位のためにもらっといてやるかと。」

その都知事閣下が齢80近くになっていまだに選考委員をやっているとは知らなかったが、田中氏の発言が効いたせいか、選考委員を降りた。「若い人に期待してきたけど、もうちょっと自分の人生、文学にとって刺激を受けたい。若い人に足をさらわれるな、と緊張感を覚えさせてくれている作品がない。」なんてのたまわっているそうだが、若い人たちは別に80歳の老人の人生や文学に刺激を与えるために小説を書いているわけではない。こうした人が今まで選考委員をやってきたことが「老害」だろう。だいいち、芥川賞の選考委員なんてかなりのエネルギーが必要で、都知事と掛け持ちでなんかできないはずだ。それ以前に、都知事など首長には職務専念義務があるはずだが。

「(出身地の)下関では、母校の恩師などから喜びの声が上がっているようですが」と記者が言うと、即座に「それは嘘です。私は教師に嫌われていましたから。」と返したり、「もう(記者会見は)やめましょうよ」と何度も繰り返すなど、有名になった沢尻えりかの「別に・・」の記者会見を思わせるが、なかなか個性的な作家がでてきたものだ。いずれ「文芸春秋」に掲載されるだろうから読んでみよう。

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