このところギリシャの財政緊縮政策法案に反対するゼネストのニュースが続いている。2009年の選挙で政権交代を果たした中道左派PASOK(汎ギリシャ社会主義同盟)が、中道右派ND(新民主党)による前政権の財政赤字隠蔽を指摘したのを契機にギリシャ国債のデフォルト危機が高まり、これがユーロ圏でも経済が弱体なPIIGS諸国のソブリンリスクに飛び火し、さらにはこれらの国債を大量に保有する欧州民間銀行の破綻懸念、そしてリーマンショックの再来へと不安の連鎖となった。そして欧州各国はようやくギリシャ財政救済のため緊急融資にようやく合意したが、その条件としてギリシャに突き付けられたのが公務員3万人削減や年金カットなどの緊縮財政で、ギリシャ議会は昨夜、国会を取り囲むデモ隊を排除して僅差で法案を可決した。定数300名の議会で与党PASOKは160議席を占めるが、与党議員の中からも造反が出ているらしい。昨夜のデモではデモ隊の中でも穏健派と急進派の内ゲバまで出てきている。緊縮財政法案の成立でギリシャ財政支援の条件は整ったものの、財政悪化は自分たちの責任ではないとする人々の不満は収まらず、混乱収拾の見通しは立っていない。 来年夏には久しぶりにギリシャに行く予定をしているので、なんとか平常に戻ってほしいのだが、ギリシャの財政赤字は恒常的なものと言わざるを得ない。第一に、年金生活者が多い。私たちが住んでいた30年前ですら、昼間から街角でカードに興じている年寄り(といっても50代くらいにしか見えない人も多い)が目に付いた。第二に公務員の数がやたらと多い。今回も公務員削減を言ってはいるが、ギリシャの公務員は国民の2割を占めるという。理由は、左右を問わず政治家が自分の支援者をどんどんコネで役所に就職させてしまうからだ。こんな調子だから、スロバニアのように、なんでまじめにやっている小国の自分たちがギリシャを助けなければいけないのかと、ギリシャ支援策を議会で否決(その後再決議でなんとか可決)する国がでてくるのは当然だろう。 だが、一般のギリシャ人にとってみれば、自分たちはご先祖様と同じ文化や生活環境の中で暮らしてきたのであり、なんでこんな目にあい、世界中から非難されなければならないのか理解できないだろう。文化と経済とは、密接に結びついてはいるが、必ずしもパラレルに動くわけではない。ギリシャがユーロ圏に加わらず、ドラクマを使い続けていたら、2004年のオリンピックは開催できなかったかもしれないし、生活はあまり楽にはなっていなかったかもしれないが、今ほどの財政危機には陥ることなくうまくやっていけただろうに、と思われる。 Tweet