June 30, 2006 =Fri=
北海道にいる息子が来月初めに誕生日を迎えるが、私たちは2日からロシアに旅行に出るので、誕生日祝いに何か贈ってやることにした。妻が息子と電話で話して、システム手帳が良いだろうということになった。仕事も結構忙しいみたいだし、妻もスケジュール管理にシステム手帳を使っているのでこれを薦めたとのこと。私としては、息子の年代なら手帖よりもPDAの方が良いのではないかと思い、メールで聞いてみると「何、それ?」という反応。PDAも知らないのかと説明してやったら、使い方を覚えるのが面倒そうだから手帖で良いとの答え。そこで小田急百貨店にある伊東屋へ寄ってみた。システム手帳といってもメーカーやサイズや装丁など、安いものから高いものまでいろいろある。まあ、これは良いなと思うと相応に高い。結局、
filofaxのバイブルサイズで2万円余りのものを選び、名前を入れてバースデイカードと共に送ってもらうことにした。
June 29, 2006 =Thu=
帰り道の書店で逢坂剛の「
遠ざかる祖国」文庫版上下巻を買う。2日からのロシア行きは安いツアーなので往復が大韓航空でソウル乗り換え。行きは乗り継ぎの時間が4時間半もある。今読んでいるのはコストヴァの"Historian"だけど、長い間英語を読むのも疲れるから軽いエンターテインメント小説も欲しい。「遠ざかる祖国」は前から読みたいと思っていた。逢坂剛の小説には三つの決まったジャンルがあって、一つは百舌シリーズのハードボイルドもの、一つは神経病理学に基づくものだが、何といっても彼の最骨頂は内戦やフラメンコギターを題材にしたスペインものだ。ページをめくったところでは「遠ざかる祖国」もスペインものらしい。逢坂のストーリーテリングの巧みさは一流だ。やはりスペインを舞台にした「燃える地の果てに」の最後の大逆転劇など本当に素晴らしい。「カディスの赤い星」「幻の祭典」「斜影はるかな国」「ハポン追跡」「スペイン灼熱の午後」「イベリアの雷鳴」等々、本当に楽しみながら読める。日本の作家でこうしたストーリーテリングで私が好きなのは、小松左京、井上ひさし、それに逢坂剛といったところ。
June 27, 2006 =Tue=
昨日、今日と熊谷へ。昨日は「テナント会」の会計用にカスタマイズした会計ソフトの説明とインストール、今日は定時株主総会だ。株主総会と引き続いての取締役会は形どおりに済んで、あとは役員たちと現場の社員たちとの懇親会。今日で退任した常務のS氏の送別会も兼ねる。ホテルサンルート熊谷の一室を借りて、私が司会役。S氏は、親会社の、私が元いた部局に戻る。本人が希望しての転勤だ。司会をやりながら焼酎をロックで何杯もやったので何をしゃべったのか余り覚えていない。
June 24, 2006 =Sat=
あれれ、ドル円をチェックしたら116円半ば。たしかつい二三日前には114円台だったと思ったのに、これも
この人のスキャンダルのせいか。海外旅行に行こうとすると円安とは迷惑な話。もっとも為替が影響するほどお金を使うわけではないが・・・キャビアくらい買ってこようかと思ってるのに。
ビデオカメラとPCとの接続がどうもうまくいかない。カメラに付属したいたRoxioの「MyDVD
for Canon」というソフトをインストールしながら、どこかで見たようなソフトだな、と思っていたが、インストールを完了して起動すると、以前からこのパソコンに入れていたのと同じソフトだった。「for
Canon」というのは申し訳程度に付いていただけ。ところがカメラをUSBで繋いで、マニュアルどおりビデオを取り込もうとすると「処理中」という表示が出て暫くすると「不明なエラーです」というメッセージが出て止まってしまう。「カメラの電源が入っていません」とか「ファイナライズされていません」とかのエラーメッセージなら対処のしようもあるのに「不明なエラー」と来られてはどうしようもない。デジタル製品ってやつはいつになってもこうしたトラブルが避けられないのだろうか。
June 23, 2006 =Fri=
昨日のデジタルビデオカメラだが、買う前に量販店で実際に触ってみたり店員から説明も聞いていたのだが、いざ使うとなるとかなり面倒なことが多そうだ。まずキャノンのパッケージにはメディアとしてはDVD-Rが一枚しか付いていない。この機種は、ビデオはDVD-RまたはDVD-RWに記録し、静止画はDVD-R/RWまたはminiSDカードに記録する。だからDVD-Rが一枚あれば、とりあえずは動画も静止画も記録はできるということだろうが、DVD-Rでは消去や書き換えが出来ないから試し撮りができない。まあDVD-Rのメディアなんて安いものだからそれで試し撮りをしても良いといえば良いのだが、どうも試し撮りが消せないと言うのも面白くない。そこでとりあえずはDVD-RWのメディアとminiSDカードを買うことにした。DVD-RWは日立マクセルの両面記録2.8Gの5枚パックで5220円、miniSDは東芝、Panasonic、SanDiskのものが動作確認済みとのことでSanDiskの1Gのもの9680円。やはり周辺部品に結構お金がかかる。
June 22, 2006 =Thu=
7月はじめにロシア旅行を予定しているが、持って行くカメラをどうしようか考えていた。いま使っているのはFinePix F-401という富士写真フィルム製のコンパクトデジカメだが、最近は起動時にフォーカスエラーが発生することが多い。何度かスイッチを入れたり切ったりして直る場合もあるが、時にはなかなか直らず、シャッターチャンスを逸してしまう。このカメラ、2002年の7月に上京してきた母と妹と共に埼玉の親戚に向かう途中、埼京線から高崎線に乗り換えるときに網棚に載せていて失くしてしまったFinePix6900の後継機としてとりあえず同じスマート目デイアが使えるからと言う理由で買ったものだが、一眼レフを思わせるFinePix6900と比べてコンパクトで使い勝手が良いのでもう4年も愛用している。しかしそろそろ買い替えの時期だし、フォーカスエラーの問題もあるので、今度は何にしようかと半年くらい前から迷っていたのだ。迷うには理由があって、@今までのFinePix F-401のような小型軽量のコンパクトカメラの手軽さは捨てがたい、Aだが、最近ブームになっているデジタル一眼も買いやすい価格になってきたし、交換レンズを揃えて本格的に取り組んでみるのも面白そうだ、Bもう一つの選択肢として、この前トルコに旅行したとき、一緒のグループだった60代後半の方がデジタルビデオカメラを使っているのをみて、海外旅行にはこれもいいかなと思う。で、@のコンパクトカメラでは広角の撮れるパナソニックの
Lumix、Aのデジタル一眼なら初心者向きの
Nikon D70sあたりと決めて検討していたところ、デジタルビデオでも静止画が400万画素レベルで撮れるのがあると分かり、結局キャノンのDVDタイプである
DC40という機種を買うことにした。DVDタイプのデジタルビデオカメラではビックカメラなど量販店では日立の機種を薦められたが、やはり静止画400万画素と言う方が魅力に感じた。実物は量販店で確かめたが、いざ買う段になるとネット通販で一番安いところを探し、「
カメラのキタムラ」の76,800円というのを注文した。量販店ではだいたい9万円台後半の値札が付いていたから単純比較では2万円ほど安いが、量販店の場合、交渉次第でかなり値引きしそうだし、ポイントの還元もあるのでさほど大きな差はなさそうだ。ネット発注したのは20日の深夜だが、翌日には発送しましたとのメールが届き、今日帰ったら宅配ボックスに入っていた。思ったより大きな箱に入っていたが、開けてみると本体のパッケージは小さいのに、「カメラのキタムラ」がおまけに付けてきたキャリーバッグと三脚がスペースを占めていた。
June 18, 2006 =Sun=
新宿駅から小滝橋通りを通っての帰り道、軒先に大きな古い提灯が揺れている店がある。提灯には「うなぎ」の文字。いつも気になっていたので、昨晩少し早めの時間だが行ってみた。店の名は「うなぎ 菊川」。むかし丸の内でよく行ったのは国際ビルの地下にある鰻屋で、こちらは「神田きくかわ」と平仮名。その名の通り神田駅近くにある「きくかわ」の支店だ。ここの鰻はふっくらとしていて美味いのだが、この西新宿の「菊川」もけっこう老舗らしい。「神田きくかわ」と関係があるのかと聞いてみたが、特につながりはないらしい。私はコースで一番安い「葵」(4200円)にしたが、妻はどうせなら鰻の一番良いのが食べたいといって鰻重の「特上」3700円が良いという。鰻重には「竹」(2100円)、「松」(2700円)、「上」(3200円)、「特上」(3700円)とある。「どう違うんだろう」と言うから「養殖と天然の違いじゃない」などと答えていたが、店に人に聞くと「上」と「特上」は「松」以下と比べて厚みが違います。「上」と「特上」とは鰻が2枚と3枚との違いです、とのこと。値段にかかわらず天然物はなく、すべて養殖とのこと。一つをコースにしたのは正解で、鰻は時間がかかるので、単品だと別につまみでも取らないとなかなか何も出てこないことになる。味の方は、個人的には平仮名の「きくかわ」の方が良いように思う。
さて、そろそろ来る頃かなとは思っていたのだが、また妻からSOSが入る。事務所の職員のお母さんが危篤とかで休みがちになり、仕事が遅れているので手伝って欲しいとのこと。最近、コンピュータも入れ替えたので新しい機械に慣れていないこともあるらしい。で、日曜の今日はスポーツジムを早めに切り上げて事務所へ。新しい機械はJDL(日本デジタル研究所)の税理士事務所要の新バージョンなのだが、対して使い勝手が良くなっているようには思えない。それなのに旧バージョンでは税制改正や会社法に対応できなくなるので、ハードごと買い換えるしかないと言う、コンピュータに詳しくない税理士から搾り取ろうと言うこの会社独特の戦略だ。それはさておき、スポーツジムで疲れていることもあって、コンピュータの前に座ると眠気が襲ってくる。妻の方はと言うと、ヘルプを頼んでおきながら、今日は先月末に誕生日を迎えた娘とフレンチでランチかたがた映画を観ることになっていると言う。映画はTKC全国会という税理士団体の代表者の苦闘を描いたもので、娘も税理士なので二人で行くとのこと。確か今日は「父の日」だったはずだが。夕方になって、やっと二社分を片付けたところに、娘からの「父の日」プレゼントだと言う派手目のシャツを持って帰ってきた妻と、例によって近くのサイゼリアで夕食。どうもこのところ外食が続く。
June 17, 2006 =Sat=
日経最終面の『私の履歴書』だが、今月は作曲家の遠藤実が書いている。日経だけに会社経営者が書くことが多いのだが、ときたま企業とは関係のない分野の人のことがあり、概してそうした人のほうが面白い。今月の遠藤実という人、名前も知らなかったのだが、呼んでみるとこれがなかなか読ませる文章だ。前半はまったく芽の出ない駆け出し時代。地方から上京し、歌手を目指して酒場の流しを続けるがうだつは上がらず、オーディションを受けに行くと審査員室のマイクが切り忘れられていて、審査員たちの会話が控え室に聞こえてくる。「あの男、あんな汚い格好で、あんな顔で歌手になれると思ってんだどうか」これを聞いて歌手を諦め、作曲で身を立てようと決心する。だが、これもなかなか芽が出ない。
そして今日の回になるのだが、これがまた感動を誘う。ある日、故郷の砂浜で眺めた月を思い出しながら一気に曲を書き上げる。流しで歌うと今までと違って評判が良い。専門の作詞家が改めて歌詞をつけ、レコードに吹き込まれる。だが、その後レコード会社からの連絡もない。この曲がだめなら故郷に帰ろうと思いながら四畳半一間の家にいると、チンドン屋の近づく音が聞こえてくる。近づくにつれてチンドン屋の演奏する曲の旋律がはっきりしてくる。あっと叫んで裸足のまま外に飛び出し、クラリネットを吹く先頭の男に駆け寄る。「俺のだ!俺のだ!」楽器を奪われるのかと思った男は驚いて身をかわす。そのまま道に座り込み、『お月さん今晩は』を奏でながら遠ざかって行くチンドン屋の一行にじっと手を合わせる。家にはラジオもなく、昼間は家に閉じこもっている彼には、チンドン屋が演奏するほど自分の曲が流行っていることを知らなかったのだ。その夜、生活を支えてきた年上の妻に昼間の出来事を話すと妻の目が見る見る涙で一杯になり、二人で手を取り合って泣く。
遠藤実という人がどんな曲を書いているのか調べてみると、あああの曲が、と思うようなのがある。しかし、私の好みに合うのは『くちなしの花』くらいだろうか。今は色んな賞を取り、叙勲までされて歌謡界ではかなりの名士らしい。夫婦で四畳半一間、その前は知人の6畳間と台所の間の二畳間、家財道具は二人分の茶碗と鍋が一つ、こんな生活がつい50年くらい前までは日本でも珍しくなかったことを思い出す。
June 16, 2006 =Fri=
日本経済新聞ウオッチャーによる「
にっけいしんぶん新聞」というブログがある。日経新聞に掲載される記事に突っ込みをいれているのだが、渡辺淳一の『愛の流刑地』が連載されていた間は『今日の愛ルケ』と題してこの不倫小説にほとんど毎日突っ込みを入れていた。小説そのものよりこの突っ込みの方が面白くて、本文を読まずにこのブログの方だけを読んでいたこともある。ブログの書き手はたぶん証券会社の若手アナリストと推測されるのだが、そのブログに今回の日銀の福井総裁の事件に関して総裁を擁護する記事が出ていた。
ま、脇が甘かったってことでしょうかね。
といっても、村上氏が逮捕という事態になっていなければ何も問題にならなかったでしょうから、福井さんにとっては事故みたいなもんでしょう。
野党はここぞとばかり騒ぎ立てようとしていますが、株価急落で金融市場が不安定な折、海外からも日銀の金融政策に注目が集まっている中で、あえていらぬスキャンダルを作り出して当局を混乱させ、日本市場の印象を悪化させようというセンスはいかがなものかと思います。
また政府・与党サイドにもこの問題を日銀の金融政策への圧力として利用しようという動きがあるように聞きますが、事実ならこれまた情けない話としかいいようがありません。
総裁個人の問題と金融政策をリンクさせるようならば、まともな経済運営は望めなくなります。
このブログへのコメントも、大体が書き手のファンだからということもあって、この記事に賛同する意見が多い。だが、本当にそんなことで良いのだろうか。株価急落で金融市場が不安定な折、海外からも日銀の金融政策に注目が集まっている中だからこそ、日本の市場の指導的立場にある人間が特定の投資集団に肩入れし、その事実が明らかになってもその責任さえ問えないということでは、日本市場の公正さ、透明さへの疑問はますます増大し、日本市場への信頼は失われるだけではないのだろうか。
もっともこのブログの作者はこの話に「オチ」をつけている。福井総裁が今年2月になって村上ファンドに解約を申し入れたことの方を重視すべきだと言うのである。普通、この事実は、1月にライブドア事件が発生し、次の標的が村上ファンドに向いたことを察知して・・・ということで、福井総裁の保身主義を批判することになるのだが、作者は2月に解約を通告した理由を、「阪神ファンの総裁が、阪神株買占めに走った村上に頭にきたから」だと発言すれば、少なくとも関西地区では総裁の人気が上昇するだろうというのがその「オチ」である。
June 15, 2006 =Thu=

ジョン・グリシャムの"The Broker"を読了。ワシントンの有力なロビイストだった弁護士が、ある国の打ち上げた超高性能偵察衛星を操作するプログラムを開発したパキスタン人青年3人の代理人となり、これを外国の諜報機関に高く売り込もうという危険なビジネスに手を染め、身辺に危機が及ぶと脱税で告発されたのを利用して自ら有罪を認めて安全な刑務所に逃げ込む。6年間の服役の後、再選に失敗した大統領の最後の恩赦で釈放される。実はこの恩赦を画策したのはCIA長官であり、CIAの意図は彼を泳がして誰が彼を暗殺するかを見張ることにある。彼を暗殺する諜報機関が分かれば例の衛星の所属国が分かるという仕組みだ。CIAは彼をイタリアに送り、そこでイタリア人として生活するよう、語学教師をつけてイタリア語や生活習慣を学ばせる一方、ロシア、中国、イスラエル、サウジ等の諜報機関に彼の所在を示唆する。各国の諜報機関が動き出したところで、彼は語学教師であるイタリア女性や米国の自分の息子の手を借りてイタリアを脱出、スイスの銀行の貸し金庫に預けてあった衛星操作のプログラムソフトを回収し、変装して米国に帰国する。彼は米国に帰国すると昔の伝を辿ってペンタゴンに接触、身の安全と引き換えにCD4枚に収められたソフトを引き渡す。見えざる敵から逃げ回る日々から解放された彼は、イタリア女性のいるボローニャに旅立つ。
簡単に言えばそんな筋立てなのだが、前にもこの日記に書いたとおり、全編の半分以上がイタリア語研修の様子であり、スパイ・サスペンスとして動き出すのは最後の四分の一くらいになってから。だが、テンポは速くなるのだがどうも不自然なところが多い。サウジとイスラエルの諜報機関が米国の説得で手を引くのはありえそうだし、ロシアはもともと余り深く関与していないが、衛星の所有者である(と分かる)中国は、自分の衛星が乗っ取られたわけだし、イタリアに強力な殺し屋を送り込んだところまで書かれていながら、最後に手を引く理由がない。第一、これほど各国のスパイや殺し屋が追う中で、諜報活動からは素人の彼が、他人のパスポートでイタリアから国外に脱出し、スイスの銀行に立ち寄り、無事に米国に戻ってくるというのも不自然だ。
もっともグリシャム自身、本書のあとがきでこんなことを書いている。
My background is law, certainly not satellites or espionage. I'm more terrified
of high-tech electronic gadgets today than a year ago. (These books are
still written on a thirteen-year-old word processor. When it stutters,
as it seems to do more and more, I literally hold my breath. When it finally
quits, I'm probably done too.)
13年前のワープロはともかくとして、専門が法律で衛星やスパイのことは詳しくないと言うなら、最初からこんな小説をかかなければいいのに。実際、スパイ・サスペンスの部分より、前半の長々としたイタリア語学習場面の方がグリシャムのワープロは淀みなく動いていたようだ。イタリア語が一言もしゃべれなかった主人公が徐々に言葉を身につけていく様子や、ボローニャの古く落ち着いた街の様子など極めてヴィヴィッドに描かれている。グリシャムは彼自身が言うように、もともと弁護士でもあり、法律に関連した小説が得意だったはずだが、"A
Painted House"あたりから作風がかなり変ってきたように思う。アーカンソーの建設労働者の息子として育ったグリシャムの少年時代の自伝と思われるこの小説は、綿花畑で働くインディアンやプアーホワイトたちの様子を子供の目から捉えていて、法律とはほとんど無縁の作品だ。また、"The
Last Juror"も、題名こそ法律小説のようだが、実際はアメリカ南部の田舎町のローカル新聞の記者兼経営者である青年が主人公で、彼の目を通して田舎町に暮らす人々や、殺人事件の陪審員となる黒人女性との心の交流を描く。そうした観点から読めば、今度の"The
Broker"も、国際スパイ小説ではなく、古都ボローニャでの末期癌の夫を抱えた中年女性と追われ者の外国人との淡い恋愛物語と考えた方がよいのかもしれない。
June 13, 2006 =Tue=
証券取引法違反(インサイダー取引)で捕まった村上世彰率いる「村上ファンド」に、こともあろうに
日銀総裁の福井俊彦が個人で1000万円を出資していたことが明るみに出た。私は、村上世彰や堀江貴文のやったことが必ずしもマイナス面だけではないと思っている。今の日本、どうせ資本主義の世界なのだから、そこに長い年月かけて絡まった日本的資本主義のしがらみを大胆に切り離し、単純明快な資本の論理を押し通すこと自体、それはそれなりに意味のあることだった。ニッポン放送事件の際に村上が、自己保身に走るニッポン放送経営陣に対して「経営者が株主を決めるのではないのであります。株主が経営者を決めるのであります。」と胸を張って主張していたが、こんな資本主義のイロハを敢えて口にしなければならないほど、日本の企業社会では経営者の論理がまかり通っていた。もっとも、本当に資本主義が正しいのかどうかは別の話だが。しかし、仮にも日銀総裁という立場にある人間が、村上ファンドだからと言うのではなく、こうしたプライベートファンドに自分の資金運用をさせること自体、とんでもない話だ。福井は、1998年の日銀法改正で中央銀行としての独立性が格段に高められた日銀の、その改正日銀法の下で最初に就任した総裁だ。日銀プロパーの中で、早くからプリンスとして将来の総裁と目されながら、副総裁時代に相次ぐ日銀不祥事の責任を取っていったん身を引き、富士通総研の理事長に転じていたのを、2003年に小泉首相から総裁に任命された。総裁任期は5年であり、日銀法第25条により在職中は意に反して解任されることはない。日銀の最高意思決定機関である金融政策決定会合は総裁のほか二人の副総裁、6人の審議委員による合議制だが、総裁が提示した議案が否決されることはないと言われる。それだけに日銀総裁の一挙手一投足が株価や為替を大きく動かすこともある。そういう立場の人間がファンドを通じて自己資金を株式運用しているのだから、これこそインサイダーそのものだろう。金融相の与謝野や小泉が、「まだ総裁になるかどうかわからない民間人の時代にやったことだから問題ない。」などとかばっているが、総裁になってからも運用を続けていることは本人が認めている。だいたい、小泉の任命責任が問われているのに、涼しい顔をして「問題ない。」と他人事を装っているのが相変わらずの小泉流なのだろうか。今日も株価は大暴落で年初来安値を更新、もと勤めていた会社の持株会で貯めていた株も、この一月ばかりで大きく価値を減じた。
June 12, 2006 =Mon=
前半45分、後半45分、併せて90分の試合のうち、80分が経過しても1-0で日本が勝っていたのが、わずか10分足らずのうちに立て続けに3点を入れられて逆転負け。ワールドカップのオーストラリア戦。結果としてみればジーコ監督率いる日本チームはそんなに強くはなかったし、この調子だとクロアチア戦も、ましてやブラジル戦もあまり期待しない方がいいだろう。まあ、たかがサッカーの試合であんまり熱くならないほうが良い。1969年にサーっカー試合の遺恨がもとで、中米のエル・サルバドルとホンジュラスの間で戦争が勃発。「人類史上もっともばかばかしい戦争」として知られている。(Wikipedia)このときは、もともとサルバドル農民がホンジュラスに不法滞在する事件などで両国の間が険悪になっていたと言う素地があるのだが。そうかと思うと、2002年の日韓ワールドカップ共催で永年の隣国同士のしこりが消えかかったのに、一方の馬鹿な首相が靖国参拝などにこだわったために以前にも増して関係をこじらせている事例もある。
June 11, 2006 =Sun=
家の近くの新宿プラザで、「
ダヴィンチ・コード」を観る。日曜は朝9時15分から第一回目をやっている。いつもは早朝の時間だと空いているのだが、今日はかなり入っていた。ベストセラー小説の映画化というのは、@原作に忠実で成功、A原作に忠実で失敗、B原作を離れて成功、C原作を離れて失敗、の4パターンあるのだが、この映画の場合は一応@の評価としていいだろう。原作を読まずに観た人にも、十分筋は追えるのではないかと思う。ただ、原作の謎解きのスリルが短くした映画では味わえないのと、分かりやすくするためだろうが、小説に比べてカトリック教義への批判に偏っているように思えるのはやむを得ないかもしれない。主演のトム・ハンクスとオドレイ・トトゥがあまり美男美女でないのも原作の雰囲気を損なわなくていい。もっともソフィー(オドレイ・トトゥ)の存在感が原作に比べて乏しく、車を後ろ向きに走らせる場面くらいしか記憶に残らないのが物足りないが。逆に原作以上に存在感が高かったのは殺し屋のシラス(ポール・ベタニー)だった。それにしてもこの映画、前宣伝がすごいこと・・・
June 10, 2006 =Sat=
昨日の日記に「もうすぐ読み終わる」と書いたジョン・グリシャムの"The
Broker"だが、終盤に来てようやくグリシャムらしいサスペンス調になってきた。というのも、前回、5月2日の日記にそれまで読んだ部分の概略を書いたのだが、主人公でワシントンの元ロビイストであるジョエル・バックマンが、脱税で服役中の刑務所を大統領交代の恩赦で出獄し、彼を巡るある事件かに絡んで命を狙われていることから、CIAは彼をイタリアの田舎町に送り、イタリア人として生活させるため言葉や習慣を学ばせるという段階だったが、このイタリア語学習の様子が全編の四分の三あたりまで延々と続くのだ。もっともその間に、彼のイタリア語はかなり上達し、併せてなぜ彼が命を狙われているのか、CIAはなぜ彼を釈放させてイタリアに送り込んだのかがだんだん明らかになっては来るのだが。
Joelの居場所を探ろうとしていた元大統領補佐官のクリッツが殺害され(この人物が重要な役割を果たすのかと思ったが、早い段階であっさりと殺されてしまう。)たのをきっかけに、Joelはそれまでの北イタリアの田舎町からボローニャへ移され、ここでイタリア語の勉強が続く。イタリア語の教師もそれまでの大学生に加えてボローニャで観光ガイドをやっているフランチェスカと言う40代の女性が登場する。彼女には癌で瀕死の夫がおり、最初はよそよそしかったが、レッスンを重ねるうちに心を開き、ジョエルがボローニャを脱出するときには夫のパスポートを与えて協力する。小遣いも限られ、外部世界との接触もままならないジョエルは、米国に住む息子と連絡を取り、たまたまボローニャで知り合った米国人の元左翼教授の住所を使ってヨーロッパで使えるプリペイド方式の携帯電話と若干のドルを送らせる。
この携帯電話が、"Ankyo"という商品名なのだが、電話だけでなくインターネットのブラウジングまでできるという優れもので、最近発売されたウィルコムの
W-ZERO3を思わせる。息子(Neal)がこれを購入する場面。
He asked a clerk to show him the Ankyo 850 PC Pocket Smartphone, the greatest
technological marvel to hit the market in the past ninety days. The clerk
removed it from a display case and, with great enthusiasm, switched languages
and described it as "Full QWERTY keyboard, tri-band operation on five
continents, eighty megabyte built-in memory, high speed data connectibity
with EGPRS, wireless LAN access, Bluetooth wireless technology, IPv4 and
IPv6 dual stack support, infrared, Pop-Port interface, Symbian operating
system version 7.0S, Series 80 platform."
"Automatic switching between bands?"
"Yes."
"Covered by European networks?"
"Of course."
....
"... Where are you going with it?"
"Italy."
"It's ready to go. You'll just need to open an account with a service
probider."
Opening an account meant paperwork. Paperwork meant leaving a trail, something
Neal was determined not to do. "What about a prepaid SIM card?"
"We got 'em. For Italy it's called a TIM--Telecom Italia Mobile. It's
the largest provider in Italy, covers about ninety-five percent of the
country."
"I'll take it."
二ールはこの"Ankyo Smartphone"を925ドル(税別)で、TIMカードを89ドルで購入している。上記スペックを見るとこちらの方がW-ZERO3よりもかなり上らしいが、W-ZERO3は4万円弱だから値段も"Ankyo"が高い。だが、W-ZERO3の発売は昨年の12月、この本が最初にハードカバーで出たのが昨年の2月だから、その時点でアメリカではこうしたコンセプトの携帯電話が出ていたのだろうか、それともグリシャムの想像した機種が日本で一足先に発売になったと言うことなのだろうか。(Ankyo
smartphoneで検索すると実際にヒットするし、Ankyo 80 PC Pocket Smartphoneという記載もあるのだが、怪しげなページにしか行き着かない。)
June 9, 2006 =Fri=
健康診断にはいつも家から近いエスニック情報ビルの三越診療所に行っているのだが、所属する会社から健康診断の案内が来たので今回はこれを利用することにした。丸の内オアゾの新丸の内センタービルにある「
丸の内クリニック」新しいビルの中にゆったりとスペースをとっており、なかなか良い雰囲気だ。ワンフロアの片側が人間ドック・検診センターで、反対側が外来診療になっている。検診センターで受付を済ませるとロッカーキーが渡され、男女別の更衣室で診療衣に着替える。あとはフロアの真ん中に置かれたソファで待っていると、いろんな検診科目ごとに名前を呼ばれるシステムになっている。胸部レントゲンや血液検査などの結果は2週間くらいかかるらしいが、今日のところはまず大した問題もなさそうだ。
丸の内オアゾといえば丸善がある。検診の予約時間まで少し間があったので覗いてみた。たまたま今日、知人から「『
ヒストリアン』て本知ってますか?」というメールが入っていた。全然聞いたことなかったのだが、エリザベス・コストヴァによるドラキュラをテーマにしたミステリーらしく、ベストセラーコーナーに並んでいる。だが、上下2巻のハードカバーで一冊が税抜きで1700円。値段もさることながらこんな嵩張る本では置き場にも困る。それで4階の洋書売り場に行ってみたら、こちらでもベストセラーコーナーだが、
ペーパーバック一冊で値段も1040円と邦訳の3分の一以下。だけどAmazonで$10.36のがどうして1040円で買えるのだろう?とは思うが、まあ安いんだからと速攻で買ってしまう。ちょうど、今読んでいるジョン・グリシャムの"The
Broker"(ペーパーバック)がもうすぐ終わるので、その後で読むことにしよう。
June 4, 2006 =Sun=

朝食の後もう一度温泉に入り、11時前にゆっくりと岡本ホテルをチェックアウト。伊東には温泉以外にあまり見所はないと見えて、ホテルが紹介してくれたのは伊東市の指定文化財となっている元温泉旅館の「
東海館」と
伊東マリンタウンの遊覧船。東海館はホテルから歩いて10分ほど。1928年に開館した東海館は1997年に廃館となり、市に寄贈された。旅館を見てもしようがないだろうと思ったが、なるほど見るだけの価値はある。旅館の部屋でありながら、一室一室がまるで一軒家ででもあるような、凝った造りになっている。坂口安吾、尾崎士郎といった作家たちもここに集ったらしく、写真が展示されている。文人と言えば木下杢太郎がこの東海館の主人の縁戚だったらしい。こことは別に木下杢太郎記念館も市内にある。杢太郎の本名は太田正雄というそうだ。会社の先輩で先年亡くなられた太田雅雄さんをふと思い出した。東海館の玄関と反対側は松川という川に面しており、ちょうど東海館の前に舞台と桟敷ができていて、ここで日本舞踊が行われるらしい。東海館はホテルとしては廃業しているが、温泉は残っていて、500円の入湯料を払えば入浴させてもらえる。
いったんホテルに戻り、フロントのお兄さんに車でマリンタウンまで送ってもらう。このお兄さんもやはり神戸・須磨の出身で爽やかな感じの良い青年だ。マリンタウンは「道の駅」で、伊東にはあまり人の集うところがないのか、昼食時だったこともあり、車で来ている地元の人たちが多く、駐車場はいっぱいだった。底がガラス張りの船に乗り、堤防の内側を動くと大小の魚の群れが見える。堤防の外に出ると船底は締め切り、上の船室とデッキに移る。50分ほどのクルージング。路線バスで伊東駅に。帰りの踊り子号は先頭車両だった。
妻が少し船酔いになったこともあって昼食は抜き。新宿に帰り着いたのはまだ5時半くらいだったが、小田急百貨店の14階にある灘万賓館の天麩羅で夕食にした。昨夜、ホテルのテレビを見ていたら、ややお腹の出てきた女性タレント3人に3日間トレーニングをさせ、もう一人のタレントには3日間毎食一切れずつある食べ物を食べさせて、お腹周りを測定するという番組をやっていた。トレーニング組は数ミリ程度しかお腹が引っ込まなかったのに、ある食べ物を食べた方は、トレーニングもなしで3センチ以上も引っ込んだ。その食べ物とは、京都の「すぐき漬」で、東京にも有名百貨店に売っていると言う。それを思いだして、夕食後小田急の地下食品売り場に行き、京漬物の「西利」で妻が「すぐき漬」はある?と聞くと、「今朝から行列が出来てあっという間に売り切れました。京都の本社でも全国から注文が殺到しているらしくて、いつ入荷するかわかりません」とのこと。昨夜のテレビの影響はすざましい。すぐき漬から
特殊な乳酸菌が発見され、これが整腸作用などの効果を生むと言うことらしい。。
June 3, 2006 =Sat=
午後3時半のスーパービュー踊り子号で伊東へ。
岡本倶楽部というのがあって、妻が新聞広告か折込チラシを見て無料体験宿泊と言うのを申し込んでいた。私自身は会員制クラブの無料体験とかいうのは余り好きではないのだが、妻の方は「無料」という言葉を見ると飛びつく癖がある。
ホームページによると、岡本倶楽部というのは、熱海、伊東、熱川(以上静岡)、赤倉(新潟)、下部(山梨)にそれぞれ「岡本ホテル」というのがあり、会員はこれらを利用できる。会員にはブロンズ(100万円)、シルバー(300万円)、ゴールド(500万円)、プラチナ(1000万円)のコースがあり、例えばブロンズコースの場合、100万円のうち5年後一括返済の預託金が80万円、ホテル利用料に当たるのが20万円。これに対して、初年度には28万円分の、2〜5年度には毎年8万円分のホテル利用券が交付される。ホテルを利用する場合は、通常の20%引きでこの利用券を使えるが、もし使い遺した場合は利用券を額面の60%で引き取ってくれると言う。つまり、5年間で28+8x4=60万円分の利用券をもらい、これを全く使わないで引き取ってもらうと60x0.6=36万円になる。そこで最初に払った100万円に対して、5年後で見ると、80万円の預託金は返却、20万円の利用料は返却されない代わりに利用券の買取が合計36万円で、116万円が返ってくることになるから、16万円がいわば利回りとなる。これを年利換算すると3.2%での運用になる。シルバー、ゴールド、プラチナと高額になると預託金の比率が増え、交付される宿泊券も増えるため、運用利回りはそれぞれ5.4%、8.2%、10.6%になるという。
無料体験宿泊で泊めてくれたのは、伊東の岡本ホテルに二部屋しかない離れで、料理もなかなかの豪華版。それでも通常料金で一人15,000円程度だと言うからさほど高くはない。温泉もかけ流しではないが、露天風呂もついてまずまずだった。(もっとも妻によると女風呂はかなり狭いという。)従業員のサービスもまあ文句なし。食事が終わったところに営業マンが説明にやってくる。向こうはこれが目的なのは仕方ない。一通り説明を聞くが、何か釈然としない。
Q「こんな利回りを提供するなら、銀行から借りた方が安いんじゃないの?」
A「いえ、ホテル業界はバブル崩壊後倒産が続出して、銀行からは未だに貸し渋りを受けているんです。それで私たちは銀行に頼らないで済むシステムを開発しました。」
Q「だけど採算は合うの?」
A「ホテルの原価は40%程度です。稼働率70%で採算が合うので、残り30%を会員用に提供するんです。」
Q「本社はどこにあるの?」
A「銀座にありますが、近く六本木ヒルズに移転します。ライブドアの2階上になります。」
Q「不特定多数から利回りを提示して金を集めるのは、出資法に抵触することはないの?」
A「それも調べました。利用券を買い取るのはあくまで救済措置であって、結果的にこうした利回りになるということで問題ないと弁護士に確認しています。」
話しているうちに営業マンの言葉にかすかに関西訛りがあることに気づき、「どこの出身?」と聞くと、「神戸の須磨です。ここのオーナーが須磨出身なので、岡本ホテルの従業員はほとんど神戸から来ています。」とのこと。これ以降は同じく神戸出の妻と完全に関西弁の会話に変った。
「無料体験いうのん、東京でしか通用しまへん。関西でやったら、みんな『わあ、ただや』いうだけで来はるけど、誰も入会してくれまへんわ。」
「そやなあ、関西では絶対まけさせるからなあ。入会金もまけといて。」
「いや、それはできまへんわ」
てなことで、結論は先送りにした。話がうますぎるのは何か裏がありそうだ。今後も一定のペースで新規ホテルを買収し、その都度このシステムで資金調達をするが、後になるほど利回りが悪くなるので、早く入会した方が得だと言う勧誘方法も胡散臭い感じがする。まあ、100万円くらいのコースなら、騙されても大したことはないが。岡本ホテル自体は創業して70年余りになるそうだが、6年ほど前に、それまでの岡本ホテルの経営が傾いたときに新しい経営者が資本参加し、このシステムを導入したと言う。
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