1997年第2回定例会
かたやま光代議員質問
外部監査制度について
企業会計方式の導入について
市長答弁
再質問および答弁
1997年第2回定例会
6月10日(火)
○議長(渋谷佳久) 19版 片山光代議員。
[19番片山光代議員登壇]
○19番(片山光代) 議長のご指名を頂きましたので、通告に基づき一般質問を行います。
私は今回は、市政の透明性と効率性を確保するという観点に絞って、二つの点を質問いたします。
先月の28日、改正地方自治法が成立しました。改正の主な点は、監査制度の改革に関する事項で、外部監査制度を新たに導入することと、現行の監査委員制度の改正からなっています。
外部監査とは、従来の監査委員による監査に加えて、弁護士、公認会計士、税理士など監査に関する実務に精通している者で、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関して優れた識見を有する者と、市が契約を交わして監査を委託するものです。外部監査契約には、住民や議会からの監査請求あるいは地方自治体の長からの監査要求に応じて臨時的に行う個別外部監査契約と、事務処理の効率性や組織・運営の合理化、規模の適正化などについて毎年行う包括外部監査契約とがあります。都道府県、政令指定都市および中核市については包括外部監査契約による監査が義務づけられ、それ以外の市町村については条例によって契約に基づく監査を受けることを定めることができます。
一方、改正地方自治法では、現行監査委員制度について、いわゆるOB制限を設けると共に、監査結果報告に基づいて改善などの措置を講じた場合は、これを監査委員に通知し、監査委員はそれを公表することを義務づけています。
一般の企業の場合、商法ではすべての株式会社に監査役を置き、監査役監査を義務づけているほか、商法特例法では資本金5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社には、これに加えて外部の会計監査人による監査を義務づけています。地方自治法も、今までは株式会社の監査役に相当する監査委員の監査だけでしたが、今回の改正で大規模な地方公共団体には外部監査人の監査が義務づけられたことは、商法特例法の会計監査人監査と良く似た位置づけになったわけです。私はかねがね、公的部門の制度も、透明性と効率性に優れた民間部門の制度を採り入れるべきだと考えていますので、地方自治においても公的部門の制度が民間企業並みに近づいてきた現れとして、今回の改正を評価しております。
一般の民間企業のうち、資本金5億円未満で負債額も200億円未満の、いわゆる中小企業の中でも、株主や債権者に対する情報公開に熱心で、企業内部の透明性や効率性を重視した経営を目指す先進的企業は、商法特例法で義務づけられていないにもかかわらず積極的に外部監査を受け入れています。
私は、企業における監査役監査と外部会計監査人監査、そして地方自治体における監査委員監査と外部監査は、いずれも透明かつ効率的経営のための車の両輪と考えています。市長はかねがね、町田市には官官接待はない、市長交際費も含めて情報は原則公開するとおっしゃっておられます。大変結構なことで、私たちも誇りに思っています。しかし町田市も大組織です。思いもかけないところで不正や重大な過失、無駄や非効率があることは、この本会議の場でもしばしば指摘されているところです。現行の監査委員には常勤の方もいらっしゃって、実務に精通した識見の高い方が選ばれておられます。市長が議会の同意を得て選任する監査委員と、契約に基づいて外部から客観的かつ専門的なな目で監査する外部監査人とが、相互に補完しつつ市民の立場で業務を監視し、提言してくれれば、市政の効率性、合理性に市民は一層の信頼を寄せられるのではないでしょうか。
市長が今年度施政方針の冒頭に述べられた行財政改革の一層の取組みを進めるためにも、わが町田市では政令指定都市や中核市以外の他市に先駆けて、包括外部監査契約に基づく監査を受けるべく、条例化の方向でご検討いただきたいと考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか。これが質問の第1点です。
第二に、これも今の第1点の質問とも関連しますが、市政の透明性を高め、市が市民に対して市政の状態を数字をもって明確に説明する責任、これをアカウンタビリティと言いますが、この責任を果たしていくことが今後ますます重要になってきます。そのためには将来的に市の会計制度の改革にまで手をつけていく必要があると考えます。私のこの意見は、先月15日の朝日新聞の「論壇」に書かせていただきましたので、お読みいただいた方もいらっしゃるかと存じます。
誤解のないようにお断りしておきますが、私は何も今すぐに市の会計制度を変えろと言っているわけではありません。会計制度の変更はそんな簡単にできる話ではありませんし、第一、地方自治法の改正が前提となることは言うまでもありません。
しかし、私たち市民派クラブで今年の2月に視察したニュージーランドでは、中央政府、地方自治体ともに会計制度に一般の民間企業と同じ方式を取り入れて、行財政改革成功の影の主役となっておりますし、日本でも、ニュージーランドとは違った形ではありますが、政府レベルでは企業会計方式を導入する動きがはっきりしてきております。
どういうことかと申しますと、総理大臣を会長とする行政改革会議というのがありますが、ここでエージェンシー制の導入というのが検討されています。私の手元に、総務庁の武藤長官が四月末に英国の行政改革の実情調査を行った報告書がありますが、これによりますとエージェンシー制とは、サチャー政権が1980年から英国病の克服に取り組むに当たって採用した制度で、各省庁の執行部門を企画立案部門から切り離し、独立採算制とか企業会計原則といった民間企業の経営手法を持ち込み、合理化に成功を収めたものです。
この英国流のエージェンシー制度を日本にも導入しようというのが行政改革会議の動きであり、具体的には免許証やパスポートの発行、官庁の営繕業務、登記、印刷、統計、特許の審査、測量、国有財産や国立公園の管理などが対象に挙がっています。
余談になりますが、私の持っている英国の実情調査資料や行政改革会議の議事録などは、すべてインターネットで政府のホームページから取り寄せたものです。居ながらにしてこういった資料が手に入るのですから、黒木議員がたびたびおっしゃっているように、町田市でも情報発信はともかく、インターネットに接続することだけでも大至急検討されるべきかと考えます。
このように、会計制度を含めた民間企業方式を公的部門にも導入しようとする動きは、すでに具体的なものになってきております。これが地方自治体に及んでくるのは、正に時間の問題かと思います。地方自治体の場合は、地方自治法に縛られることは当然ですが、必要なことであれば国が法律を変えてくれるのを待つだけでなく、自治体の側から主体性を持って国に法律改正を求めていくことが、地方自治の望ましい在り方ではないでしょうか。この意味で、市の関係者の皆様にも、この問題を今から研究して頂きたいというのが私のお願いです。
今までの国や地方自治体の会計制度は、基本的に現金主義に立った単式簿記という仕組みで行われています。これに対して企業会計方式では、発生主義に基づいた複式簿記というのが主な違いです。では、今までの会計制度のどこが問題で、企業会計方式のどこが良いのかと言いますと、いろいろありますが専門的なことは別にして、二つだけ挙げてみます。
まず第一に、企業会計方式だと市の財産と借金の状態がはっきりと把握できることです。民間企業の貸借対照表というのがこれに当たります。もちろん今でも市の財産については財産目録が作成され、借金についてはその内訳は把握されていますが、これらは会計の記録から自動的にかつ正確に導き出される仕組みではありませんし、財産目録といっても土地が何平方メートル、グランドピアノが何台といった形だけで、その価値がいくらかという把握はされておりません。ニュージーランドでは、初めて企業会計を導入するに当たって、貸借対照表に計上する財産の調査を行ったところ、いままで誰のものかと思っていた建物一棟がまるまる市の持ち物だったことが分かって、慌てて保険をかけたという話も聞きました。
第二には、これがもっと大事な点ですが、民間企業と同じ会計制度を採用することで、市の行うさまざまな事業のコストを民間企業と同じ基準で比較できるようになることです。コストを正しく把握することは、減価償却とか本部経費の割り掛けとかいった考え方のない現金主義会計では不可能なことです。民間企業と同じ基準でコストを計算することで、どのような事業を民間委託するのが経済的か、また民間に比べてコストが高い時は、どのようにすればコストを下げることができるかを比較検討することが可能になります。国が検討しているエージェンシー制度は、正にこれを目的としているものと思います。
ただし、企業会計を導入することは良いことばかりではありません。一番のデメリットは、市の会計事務を担当する皆さんに負担がかかることです。事務量の増加という負担は、ある程度コンピューターを活用することで解決できるでしょうが、最も大きな負担は、今までの制度からの頭の切り替えです。メリットとデメリットのどちらが大きいかは、市民に対して正確かつ透明な数字に基づいた市政情報を提供することと、新しいことに挑戦する努力を惜しむこと、そのどちらが大切と考えるかにかかってきます。
先進的な自治体では、すでに簡便法ながら先ほど申し上げた貸借対照表を作ろうという試みを行っているところもあります。町田市とほぼ同規模の神奈川県藤沢市がその例です。
町田市でも、来たるべき21世紀の新しい地方自治に向けて、この問題に取り組む意思がおありかどうか、市長はじめ理事者側のお考えをお聞かせ頂きたく、以上で壇上からの質問を終わります。
○議長(渋谷佳久) 市長 寺田和雄君。
[市長寺田和雄登壇]
○市長(寺田和雄) それでは、お答えをいたします。
まず最初に、自治方の改正に伴う外部監査制度の導入問題であります。これはもう既に新聞紙上などでも報道されておりますから、皆様方、先刻ご承知のとおりだと思いますが、ただいまのご質問にもありましたように、昨今の聞き続く国、あるいは都道府県等々、自治体までも巻き込んださまざまな公金の不祥事、これらも大きな反省の材料になった上で、監査制度をさらに充実させようという、そういう試みだと思うのであります。
法律では、都道府県並びに政令指定都市、それから中核市だったと思いますが、中核市というのは30万人以上の都市てありますが、面積要件がありまして、100平方`以上のところで、既に二十数市が全国で指定されておりますが、そういうところであります。残念ながら、我が町田市は要件の面積が足りないということで中核市にはなっておりませんけれども、しかし、人口規模では、いわばもう中核市をクリアしているわけであります。
それらのところが今回は法律の中でできる。そうするというふうになったわけでありまして、次なる段階としては、これを具体的に実施をするのにさまざまな自治体の手続があると思いますが、それらの段階に移ると思います。
我が町田市は、先ほど申し上げたように、この法律ではまだ対象になっておりませんけれども、今後の方向としてどう考えたらいいかといういうふうなこともあると思いますし、私は法律の具体的な施行を待った上で、さらに関係機関とも協議をし、また、近隣の類似都市の動向なども見極めながら、あるいは市長会等での議論も参考にした上で考えていきたいというふうに思います。
いずれにしましても、方向性としては、これまた、今日大きな流れとして私も認知するところでありまして、内部の監査に携わっている皆様方とも意見の交換をしたいというふうに考えております。
それから、会計制度の問題でありますが、これまた、ご質問にもありましたように、昨今、イギリスのエージェンシーの問題が注目されておりまして、さまざまな分野でのエージェンシーへの移行問題が取りざたされているところであります。イギリスの例がそのまま我が国に適用するとは限りませんけれども、このような厳しい経済的な変動の中では、この問題も真剣に考えていかなければならない問題だろうと思っておりますが、これらは、いずれにしても国の動向がまず第一であります。
それから、会計制度をどうするかということは、事柄のよしあしは別にいたしまして、これはご質問にもありましたけれども、国の地方自治法、あるいは財政法等々関連法規の整備がなければ、自治体として単独でこれを取り組むということにはならないわけでありまして、全般的に国、都道府県、市町村等々、私の感じとしては、一斉にこれがそちらへ移行するということでないと、お互いの財政が非常に関連し合っていますから、大変難しい問題だろうと思っております。
ただ、企業会計を導入しようというのは、いわば効率性を主軸にしてみるといいますか、そういう点でもう既に病院企業であるとか、あういは水道企業等々は、いわば企業会計方式を採用しているわけでありまして、そういう点では私どもも、ある程度は今までにも経験を積んできているところであります。
活かし、長い間、いわば明治以来、ずうっとこの官庁会計方式を採用してきているという伝統からいって、さまざまな体制の整備ももちろん、それから職員の意識の改革、こういうようなことも当然必要だろうというふうに考えます。
企業会計方式のメリット、デメリットがございましたが、私も、なおよく研究をしないと簡単には申し上げられませんけれども、ただ、例えば自治体の、我が町田市の会計がすべて企業会計方式でいいのかどうか、この辺はまだ釈然としないわけでありまして、例えば福祉のサイドなどに、こういう効率主義だけが導入されると、やはり非常に問題を起すのではないかなという気もないわけではありませんで、全体的にもう少しよく研究をしてみたいという封に思います。
この問題については、ご質問にもありましたように、一部の機関で検討されているようでありますから、それらの動向とあわせて、今後も関心を持って取り組んでまいりたいというふうに思います。 以上であります。
○議長(渋谷佳久) 19番 片山光代議員。
○19番(片山光代) 再質問させていただきます。
外部監査制度については考えていきたいということですけれども、やはり町田市も本当に中核市と同じぐらいの規模でございますし、義務づけられてもおかしくないはずである市でありますので、監査されて何か困ることがあるのではないかなどと市民から誤解されないためにも、率先して条例化を検討する予定はないのか、もう一度お伺いさせていただきたいと思います。とりあえず、よろしくお願いします。
○議長(渋谷佳久) 市長 寺田和雄君。
[市長寺田和雄登壇]
○市長(寺田和雄) 法律で必置が決まっているのであれば、これはいやも応もないのでありますが、先ほど申し上げたように、やはりこれらの対応としては関係機関、これは国、東京都、あるいは周辺自治体、市長会等々の動向なども十分把握をしながら、しかし、そういう中であるけれども、町田市としては関心を持っていきたい、こういうことであります。
○議長(渋谷佳久) 19番 片山光代議員。
○19番(片山光代) 次に、会計制度について、改革についてでございますけれども、これについても今すぐというわけじゃないんですが、勉強会とか研究会をつくっていただきまして、ぜひ前向きに検討していただきたいなと思っております。
けさの日経にも載っておりますように、藤沢市もそうですし、他市も貸借対照表を公表するような時代になっています。だから、町田市も、すぶとは言いませんけれども、職員をぜひ参加させていただいて、例えば生産性本部、正式には財団法人社会経済生産性本部というのがここで地方公共団体に対する企業会計的手法の適用に関する研究会というのが月1回程度開かれています。こういうところに職員を出席させていただける予定はございませんでしょうか。
それで、実は町田市は市の経理業務がこれからやっとコンピューター化される。つまり、今は手作業で処理されていると聞いていますが、町田市の財政規模は約1、000億円ぐらいで、売上げが1、000億円ぐらいの企業といえばかなりの大企業でございまして、経理業務はコンピューター化されているのが当然でございます。そういうのがまだ手作業になっているのがとても驚いている状態で、そういうことで、こういう状態でいれば、普通の企業であれば競争社会に生き残っていけないと思うんですね。
そして、昔ながらの仕事のやり方にしがみついたり、合理化のための勉強を怠って、時代の流れについていけなくなっている証拠ではないかと思うんです。それで、こういう二の舞のないように、経理制度改革のための勉強会にぜひ今から取り組んでいっていただきたいと思うんですが、月1度ぐらい各自治体で職員を派遣されて勉強会をされているんですね。この辺にぜひ参加させていただく予定はないでしょうか。
○議長(渋谷佳久) 市長 寺田和雄君。
[市長寺田和雄登壇]
○市長(寺田和雄) ご質問にもありましたが、さまざまな市の抱える作業、あるいは事務等々についてのコンピューター利用とか、そういうことについては、それなりに努力をしているところでありますが、なお一層督励をして、例えば何時も指摘されますように、インターネットの利用等々についても、できるだけ早い機会に実現するよう目下努力をしているところであります。
なお、この研究会の問題については、先ほど申し上げましたように、私としても関心を持って見詰めていきたいと思っておりますから、いろいろな機会に、そういう情報を得るように努力をしたいというふうに思います。
目下、市職員は、今申し上げた機械化の問題であるとか、どんどん新しい仕事として東京都から移管される保険事務であるとか、あるいは高齢者対策に対する、例えば先ほどの介護保険の例などもそうですが、非常に多岐複雑な事務に取り組んでいるところでありまして、直ちにその研究会へ参加できるかどうかはまだ何ともいえない。目下の事情では、庁内の関係部署でもう少し情報を集めてみたいというふうに考えております。
○議長(渋谷佳久) 19番 片山光代議員。
○19番(片山光代) だれしも長年1つのやり方でやっていれば、他のやり方もあるということになかなか気付かないと思うんです。しかし、時代の流れは、今まで長年やってきた仕事のやり方にもメスを入れる時期に来ていますので、そのため、英国ではエージェンシー制度という形で企業経営のやり方が取り入れられ、ニュージーランドでは全面的に企業会計制度が取り入れられました。
そして、日本でも、政府レベルで英国式のエージェンシー制度が検討されていると思います。こういった流れをよく理解して、時代の要請におくれない行政を目指して勉強していくようお願いしたいと思いまして、近いうちに市長会などでも話題に出るものと思いますから、私としては、市長会の場などでも寺田市長から積極的に持ち出していただければと思っています。よろしくお願いいたします。