ニュージーランドの公会計を行政視察

私(片山光代)が公会計の改革に関心を持つに至った直接のきっかけは、96年の春にニュージーランドに出張した夫が、帰国後に大阪国債大学の富山茂教授から「ニュージーランドでは公会計に複式簿記を採用している」ことを教えていただき、私に話してくれたことでした。

94年12月議会の一般質問で、市税の延滞金の状況について質問した際に、公会計制度の特殊性から市側と話が噛み合わなかった経験があります。税理士という会計の専門家の立場からは明らかにおかしいことなのに、現行制度のもとで長年仕事をしている市の人たちにはどうしても理解してもらえません。また、専門家の立場からおかしいといっても、制度がそうなっている以上、市の人たちを責める訳にもいきません。

企業会計と同じ複式簿記ならこのような食い違いは起きないだろうにと思っていた私に、ニュージーランドの話は正に我が意を得たという感じでした。さっそくニュージーランドの公会計制度について勉強を始めようと思い立ちました。

ところが、行政改革の先進国であるニュージーランドについて書かれた本はあっても、公会計制度については日本で手に入る資料はほとんどありません。ニュージーランド大蔵省のホームページから、国の財務諸表や法律の要約など、幾つかの資料は入手できますが、地方自治体に関してはまったく手がかりすらありません。

そこで、これは現地に直接行って調べてこなければどうしようもないと思いました。私の所属していた議会会派「市民派クラブ」では、毎月の調査費を積み立て、年に一度海外視察を行ってきましたが、私は次の視察先にニュージーランドを提案しました。

当初、96年秋の予定でしたが、メンバーのスケジュール調整が難しく、結局97年2月になって実現しました。ちょうどこの頃、日本海でロシアのタンカーが原油流出事故を起し、北陸沿岸に原油が漂着する事故が起こりました。この騒ぎの最中に、地元自治体の議長会がニュージーランド視察に出かけ、非難を浴びることになりました。このため、私たちの中でもニュージーランド視察を躊躇する雰囲気が出ましたが、明確な目的意識を持った視察なら市民に対しても恥じることはないというのが結論でした。

ただ、公会計問題に関しては、他のメンバーは関心が薄く、私一人が取り組むことになりました。事前にニュージーランド大蔵省の広報部長に電子メールを入れたところ、同国最大の都市オークランド近郊のマヌカウ市を紹介してくれましたので、オークランド、クライストチャーチとともに、マヌカウも視察先に加えてもらいました。

実際の視察に当たっては、公会計に関する説明や質疑は同行したニュージーランド人の通訳には専門的すぎるようでした。そこで、事前に用意した質問状に基づいて、テープに録音した会話を帰国後に分析することと、現地で貰った資料、帰国後の電子メールでの補足などから、添付の報告書を構成しました。また、マヌカウ市用に用意した質問状を、クライストチャーチ市でも先方に手渡す機会がありましたので、帰国後に電子メールで解党を貰うことができました。

今にして思えば、私にとってこの視察が、その後の公会計改革運動の出発点となりました。

資料1: 町田市議会市民派クラブ ニュージーランド行政視察報告書抜粋
資料2: マヌカウ市への質問書への回答
資料3: クライストチャーチ市への質問書への回答