静岡県議会議員・内山隆司さん

昭和50年静岡県議当選、現在5期目
税理士、社会保険労務士、経営士、行政書士

1998年10月2日(金)

 平成会の内山隆司であります。
 通告に基づき、知事並びに関係部局長、教育委員長、教育長に伺います。
 先ず最初に、企業会計手法と外部監査制度の導入について伺います。
 それでは、
(1)公会計への企業会計手法の導入の前提として、
 ア 県の財産状況
を伺います。
 県は、6月補正予算及び9月補正予算において過去最大の経済対策を実施する予算を編成し、厳しい財政状況の中にありながらも、県内経済の停滞状況の中、思い切った公共投資による内需拡大を英断されましたことは評価しております。
 今回の補正予算の財源として発行された県債は、交付税措置等のある有利な県債を活用していることは承知しておりますが、借金である県債が累増し、民間企業で言えば、例えば債務超過になっているのではないか?と疑念が生じさせることもあろうかと思われます。
 県の財政状況が、どのような財産状況にあるのか、現在の単年度の資金の出入りだけを記入する単式簿記の会計制度では、県民には分かりにくいのではないかということを懸念しているのであります。
 そこで、まず、本年度末で累積される県債(平成10年度末見込みで一般会計、特別会計、企業会計分を合計すると総額1兆9128億円余)に対し、どれくらいの財産を有しているのか、また、これらの財産については、どのように評価替え等をしているのか伺います。
 次に
 イ 出資法人、第三セクターへの財政支出状況
について伺います。
 最近の新聞記事にも、自治体が出資している第三セクターや公益法人の経営が行き詰まり、経営不振を原因として清算や解散をし、自治体が施設を買い取ったりしている例が多くあるといわれております。
 本県にも、これらの団体に対する補助均等の財政支出はあると思います。
 では、それはどれくらいの額となるのか、また、これら団体の財務状況等の開示状況はどのようになっているのか伺います。
 次に、導入が何故必要なのかを申し上げます。
 県自体についても、情報公開の趣旨からも、公的部門における経営・財務状況の十分な開示が必要であると思います。
 日本公認会計士協会では、昨年度、企業会計原則に公的部門の特殊性を加味し、「公会計原則(試案)」を発表致しました。
 この試案によると、企業会計原則に行政としての特殊性を加味したものとなっており、貸借対照表と正味財産増減計算又は損益計算により構成されているのであります。
 重要なのは、資産と負債の関係を明らかにする貸借対照表を作成することであります。
 この公会計試案が発表されるより前に、税理士であり、町田市議会議員であります片山光代さんの論文(地方自治体に企業会計方式を)が朝日新聞全国版の「論壇」欄に掲載され、大きな反響が呼び起こされました。わが会派の鳥澤議員も昨年の代表質問で提案を致しました。
 私も、公会計を考える会の会員として、公会計への企業会計方式導入への推進者の一人として、必要性を述べさせていただきます。
 さて、我々は、21世紀を目前に控えて、空前絶後の経済大不況の真っ只中にあります。国家存亡の危機であると私は思っております。いま、多くの国民は、税金を無駄なく使い、住民福祉の向上に寄与し、又、次世代に負の遺産を残さないために、実効性のある行財政改革を求めておるのであります。
 行財政改革とは、行政の効率的な運営だけでなく、納税者への情報公開、及び説明責任を果たすことをも意味しております。しかしながら、現行の単年度主義k現金主義、単式簿記に基づいた、国や地方公共団体の従来の会計制度では、十分な機能を果たしているとは言えません。
 すでにニュージーランドでは、1989年に改正されました公共財政法に基づいて、国・地方公共団体ともに民間企業とほぼ同様の発生主義・複式簿記会計を採用し、それによって作成された基礎資料が行財政改革に大きく貢献したと聞き及びます。
 また、米国を甫とする主要先進国では、わが国とドイツを除いて、程度の違いこそあれ発生主義・複式簿記の公会計制度を採用しており、今や発生主義・複式簿記は公会計の世界標準となりつつあります。
 1998年7月下旬、米国の格付け機関は日本政府の債券の格付けを引き下げの方向で見直すと発表されました。本日の会議で大場議員からも自治体格付けの質問が出されましたが、ビッグバンを迎えていよいよグローバル化する金融市場では、民間金融機関や企業だけでなく、国や地方公共団体も同じ基準の格付けで評価されます。世界に通用する会計制度で世界に通用する情報開示を行うことを怠れば、起債ひとつできなくなる可能性は十二分に考えられます。
 また、1997年の地方自治法改正により、都道府県、政令指定都市、中核都市に対して、公認会計士、税理士、弁護士などによる外部監査制度が義務付けられ、その他の地方公共団体においても条例の制定によりこの制度を導入できることとなりました。この制度を実効性あるものにするためにも、発生主義・複式簿記導入による公会計制度の改革が急務であります。
 すでに、先進的な地方公共団体であります三重県及び藤沢市では、現行制度の枠組みの中で、発生主義・複式簿記で作成するのと同様の貸借対照表が作られております。
 以上が購入の必要性でありますが、県として経営・財務内容のディスクロージャー、いわゆる公開の原則の視点から、公会計原則の導入又は貸借対照表の作成などに取り組んでいく考えはないものか伺います。
 次に、
 ウ 監査委員事務局の見解を伺います。
 公会計への企業会計手法の導入について、監査を実施する立場であり、税理士でもある杉山監査委員事務局長としての御意見、御見解をお聞かせ願います。
 さて続いて、
(2) 外部監査制度の導入について伺います。
 ア 外部監査人の選任について伺います。
 外部監査人の導入にかかる地方自治法の改正が、本年10月から施行されることとなり、来年4月からの導入が義務付けられることとなりました。
 外部監査契約は、毎会計年度締結すべきものとされており、外部監査契約の相手方の資格については、弁護士、会計士及び行政機関において監査業務等の経験を有する公務精通者に加えて、必要と認めるときには税理士とも契約することができるとされております。
 そこで、外部監査人の選任に当たっては、これらの有資格者について、一定の者に契約が偏ることのないよう配慮すべきと思いますが、選任についてどのように考えておられますか伺います。
 次に、
 イ 導入後の対応について伺います。
 外部監査制度は、平成11年度から導入すると聞いておりますが、外部監査制度が導入された場合、監査委員事務局はどのような対応をしていかれますか伺います。
 また、監査業務の専門性・透明性などを図るため、監査委員事務局に非常勤の専門調査員として会計士3名を任用しておりますが、外部監査制度の導入と併せて、専門調査員は会計士ばかりでなく、弁護士、税理士からも任用すべきと考えますが、監査委員事務局長のお考えを伺うものであります。


内山隆司県議・知事答弁要旨
1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(1) 公会計への企業会計手法の導入
 ウ 導入の必要性
 県として、経営・財務内容ディスクロージャーの視点から、企業会計手法の導入が必要ではないか。

 内山議員にお答えいたします。
 はじめに、企業会計手法と外部監査制度の導入についてのうち、公会計への企業会計手法の導入についてであります。
 導入の必要性についてでありますが、地方自治体の財務におきましては、地方自治法において、現金の流れを表示することを基本に、収入及び支出を全て歳入歳出予算に編入しなければならないなど、その機能を十分かつ的確に果たすことができるように、いくつかの原則が定められております。
 この方式は、年度ごとの歳入予算の達成状況や、歳出予算の執行状況の適否、過不足状況等会計経理面における正確性を担保することに重点をおいたフロー中心の体系となっております。
 このため、民間企業における会計処理と比較して、資産や負債などのストックの評価や年度を超えた継続的な経費管理がわかりにくいという意見もあります。
 企業会計手法につきましては、本年度のサマーレビュー'98において、県民の皆様に対し、県の財務、財政状況をわかりやすく情報提供する手法の一つとして研究しているところであります。
 導入した場合の効果としては、ストック面を含めた財務内容を性格に把握できることとなり、長期的視点に立った資産、負債の管理が可能になることが考えられます。また、評価額が会計上管理されることにより、取得した資産がその投資額に見合う便益なり効果なりを地域に与えているかどうかを評価するという、大変重要な課題に対しての、突破口となり得るのではないかとも考えております。
 導入に向けての具体的な対応につきましては、いくつかの県や市町村で試みが始まっており、現在の厳しい財政環境の中、財政の健全性や投資の重点化を図る手段としての有効性を含め、検討してまいりたいと考えております。

内山隆司県議・部局長答弁要旨
1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(1) 公会計への企業会計手法の導入
 ア 県の財産状況
 累積する県債に対しどれくらいの財産を有しているのか。
 これらの財産については、どのように評価しているのか伺う。

 企業会計手法と外部監査制度の導入についてのうち、公会計への企業会計手法の導入についてお答えいたします。
 まず、県の財産状況についてでありますが、県有財産は、それぞれの行政目的に応じて所有しているものであり、その所有状況については、地方自治法及び県の財産規則に基づき、毎年度末現在で把握しております。
 平成9年度末現在における県有財産のうち、企業会計や道路、橋梁、港湾などを除いた一般会計の財産の主なものといたしましては、土地が4,492平方メートル余、建物が391万平方メートル余、立木が129万立方メートル余であり、その評価額は、道路、橋梁、港湾などを含んでおらないこともあり、概ね9,600億円となっております。
 これらの財産評価につきましては、国有財産における評価方法に準じた方法で行っており、財産台帳価格を、国の時価倍率表を参考に、地価調査基準地価格や建築工事費の変動率を加味して、5年ごとに評価替えを行っているところであります。
 しかしながら現在の評価方法は、必ずしも実勢価格を反映したものとなっておりませんので、今後、先進事例等も参考にして評価手法の研究をしてまいりたいと考えております。

1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(1) 公会計への企業会計手法の導入
 イ 出資法人、第三セクターへの財政支出状況
 出資法人、第三セクターに対する補助均等の財政支出はどれくらいの額となるのか。また、これらの財務状況等の開示状況はどのようになっているのか。

 次に、出資法人、第三セクターへの財政支出状況についてであります。
 県が、資本金、基本金の50%以上を出資している25ほうじんについてみますと、法人設立時の基本財産としての出資金のほか、毎年度、財政支出をしているところであります。
 平成9年度決算では、用地取得等のための貸付金130億円、施設管理費等の委託料120億円などのほか、出資金補助金等を合わせ、全体で284億円余の支出を行っております。
 これらの法人につきましては、活動内容、財務状況等につきまして、毎年度、県議会に報告をしているところであります。
 加えて、本年9月1日からは、出資割合が50%未満の法人も含め49法人について、県民サービスセンター、県行政センターにおいて、法人の概要、業務及び財務等に関する資料について、自由閲覧方式によりk公開しているところであります。

1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(1) 公会計への企業会計手法の導入
 エ 監査委事務局の見解
 監査を実施する立場である監査委員事務局長としての見解を伺う。

 企業会計手法と外部監査制度の導入についてのうち、公会計への企業会計手法の導入についてお答えいたします。
 監査委員事務局の見解についてでありますが、現在の地方公共団体の会計は、地方公営企業法の適用される企業会計以外は、いわゆる現金主義、単式簿記方式であり、この方式は、全ての資産、負債、資本を貸借対照表に表し、活動の成果を損益計算書に表す複式簿記に比べ、地方公共団体の財政状態が県民に分かりにくいのは議員御指摘のとおりであると考えます。
 したがいまして、より分かりやすくするため、御提案のように、財務会計や決算諸表に企業会計手法を取り入れることは有効な手段ではないかと考えております。
 しかしながら、この手法を取り入れることにつきましては、地方自治体の財務会計は、地方自治法に、会計年度や歳入歳出予算、決算の調整方法など幾つかの原則が定められていることに加え、例えば道路、河川等の膨大かつ累年にわたる投資資産に対する評価方法等の技術的な問題や、営利を目的とする民間企業とは全く異なる行政サービスに対する評価の問題など、今後、専門的に検討すべき多くの課題があるものと思います。
 知事部局においても、関係方面から情報収集を始めたと承知しておりますが、監査委員事務局といたしましても、経済性、効率性、有効性についてのいわゆる3E監査を充実させる観点から、今後、研究してまいりたいと考えております。

1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(2) 外部監査制度の導入
 ア 外部監査人の選任
 選任について、どのように考えているか伺う。

 次に、外部監査制度の導入のうち、外部監査人の選任についてであります。
 外部監査制度は、自治体の監査の専門性、独立性の確保をねらいとして、地方自治法により、都道府県、政令指定都市等に義務付けられましたことから、本県に起きましても、現在、平成11年4月のどうみゅうに向けて、準備を進めているところであります。
 契約の相手方といたしましては、地歩自治法の規定により、地方公共団体の財務管理や経営管理等に優れた識見を有する弁護士及び公認会計士や、監査に関する実務に精通している者と締結できることとされております。
 このほか、外部監査契約を円滑に締結し、又は、その適正な履行を確保するため必要と認められる場合は、同様の識見を有する税理士とも契約できるものとされております。
 外部監査人の選任に当たりましては、法律に定められた有資格者の中から、監査業務に必要な経験や知識の有無、監査を実施する能力等を十分に勘案した上で、外部監査契約ごとに議会にお諮りしたいと考えております。

1 企業会計手法と外部監査制度の導入について
(2) 外部監査制度の導入
 イ 導入後の対応
 監査委員事務局の対応と専門調査員任用について監査委員事務局長の考えを伺う。

 次に、外部監査制度の導入についてのうち、導入後の対応についてであります。
 外部監査任は、包括外部監査契約に基づき、地方公共団体の財務に関する事務のうちから、自らの判断の元に、必要と認める特定のテーマを選定し、地方公共団体から独立して監査を行うこととされております。
 監査委員による監査は、外部監査制度が導入されましても、従来どおり、財務監査、行政監査、住民監査請求等の地方公共団体の監査全般を行いますが、新たに外部監査契約に基づく監査の結果に関する報告の受理及び公表等、外部監査契約に基づく監査に関してかかわりを持つことになります。
 したがいまして、監査委員事務局といたしましては、監査委員、外部監査人、それぞれの監査が十分に効果が発揮できますよう、相互の連絡調整を図るなど、その円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
 また、現行の専門調査員制度につきましては、法律に基づく外部監査制度が導入されることとなりますので、その在り方等について、今後、検討することとしております。